相手の技量なんて口で伝わるもんと違うんだ

【相手の技量なんて口で伝わるもんと違うんだ】
　
　
おはようございます。
　
　

先日の日曜日に頂いたお問い合わせ

中々ワクワクするような声掛けだったと書きましたが

昨日は隣町の鍛冶屋さんに行ってきました。
　
　

　
古間は伝統的に鍛冶屋の町で、

昔は鎌や包丁を鍛造する鍛冶屋さんが大勢居たそ​ですが

現在は5軒残るのみ。

　
　
　
昨日お邪魔した畑山刃物の畑山さんは包丁鍜治ですが、

80歳オーバーで、まだこの界隈の鍛冶屋じゃ

「若手の方だ」

と、本人はおっしゃってました。
　
　

　
　
これから畑山さんと何をするか？

どんな事が始まってくか？

って話は少し置いておいて、

まずは家に招かれて刃物を見ながらいろんな話をする。
　
　

　
　
元々地元高校を卒業したワタシは、

この地区には友達や同級生、親戚なんかも沢山あって

馴染みの深い場所なんだけど、

やっぱり共通の知り合いなんかも沢山居て話が弾む。
　
　

　　
更に言ったら、

畑山さんの娘さんが高校の同級生でビックリしたり、

自分の母方のばあちゃんの実家が鎌問屋をしていて

そんな話で盛り上がったり。
　
　

　　
職人にはいくつかのタイプがあって、

どんな業種の職人でも、その辺は共通項なんじゃないかな？

寡黙でとっつきにくい人・・・

威勢のいい親分気質の人・・・

何を頼んでも面倒くさそうに良い仕事してくれる人・・・
　
　
　
畑山さんは威勢のいい田舎のおっちゃんタイプだ。
　
　
　
朗らかにでっかい声でしゃべり、

楽しくお茶を飲んでいたんだけど

仕事の話になると、急に顔つき目つきが変わる。
　
　

　
色々な刃物を見せてもらって

自分も職人だし、刃物も使うし、

思ったことを率直にぶつけてみる。
　
　

　
すぐさま的確な答えが返ってきて

生涯この事だけを続けてきた職人らしさと言うか

流石、伝統工芸士だと感じる。
　
　

　
技術的な事やお互いの出来ることを話し合った後、

やっぱり工場が見たい！

と、申し出ましたら

「見るなんて聞いてねーから、片づけてねーぞ」

そんなこと言いながら案内してくれて
　
　

　
工場に入ると、見たことない機械だらけなんですが

何の事は無い、

整然としていてちっとも散らかってなんかいない。
　
　

　
これはプレスですか？

「おう！」

「すげーだろ、これはダンプの油圧シリンダーを使って俺が作ったんだ！」
　
　

「さっきの刃に打ってあった銘もこれで打った」
　
　

　
すげー！

全部平ベルトで回るんですか？
　
　
「こんなの使ってるのは、もう俺ぐらいだ」

「機械も人間も旧いんだ」
　
　

　　
この文書を読んでくれてる人に

分かりやすく説明するとしたら、

奥の方でパズーが怒鳴られながら

レバー操作してそうな工場だ。
　
　

　　
工場の中の機械と、

その一台一台が何に使われるかを説明してくれる。
　
　

　
多分、分かる人にしか分からない専門用語と方言で

でも、俺にはちゃんと全部わかる！
　
　

　　
お！

サンドブラストも使うんですか？
　
　

「あ？今はそう言う風にせうんか？」

「ガラスの粒で磨く機械だ」

「こんなもん高けーんだ、昔、やっと買ったやつだ」
　
　

　
　
その他、仕事の裏ワザや

機械を具合よく使うための裏ワザ。

ホントは企業秘密のはずなんだろうけど、

教えても役立てようのない自分に

乱暴だけど優しい言葉で惜しみなく教えてくれた。
　
　

　　
業界が違うと、どんな仕事が良い仕事なのかが分からない。
　
　
　

でも、

「畑山さんが良い仕事をする」

って言う事は充分に伝わって来た。
　
　
　
自分も今の仕事一本でやってきて、

畑山さんと比べたら職人歴も半分くらいかもしれないけど

仕事は違えど、仕事への向き合い方を見れば分かる。
　
　

相手の技量なんて口で伝わるもんで無く

その人としばらく一緒に居ればちゃんと分かる。
　
　

　
　
工場の中の片付き具合

自分の仕事への気遣いと拘りのポイント

そして、道具の配置や機械へのいたわり。　
　

旧い機械だけど可動部には全てしっかり注油してあり

すぐ手の届くところに油さしやベルトワックスが置かれていた。
　
　
　

　
　
伝統工芸士をつかまえて、

今更

「この人凄いんです！」

も、なんだかなぁですが

本当に凄い職人だった。
　
　
　
　
そして、

この出会いがどんな風に発展していくのか？が

今から楽しみで仕方ない。
　
　

　　
帰りしな、

畑山さんも俺の工場見に来てくださいよ！
　
　

　
　
「おう！　それじゃ明日にでもえくか！」

「早えー方がいいわ！」
　
　

　　
なんか、今日も仕事頑張れそうだぞ。
　
　

　　
それでは今日も

それぞれの一日を頑張ろうＺ！